小生意気にも屁理屈をごねた後の表情は晴れ晴れしくなった。
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私小説
「君の言ってることはわからない」
「何がわからないんですか?」
ただでさえ愛嬌のない目つき、眼球が鋭くなる。
「なんか、わかるんだけど伝わないんだよね。言いたいことも言ってることもわかるんだけど、理解ができない。10割中5割はわかるんだけど、半分はわからない。そんな感じなんだよ君は。」
良い関係を保とうとしてか押しが柔らかい、攻め。
「わかるんだけど、伝わらないってややこしいですね。」
「もっとシンプルに言った方がいいよ。君のはなんだか概念的だから。」
概念的が既にぼんやりしてる。
「うーん。わからないです。先輩にとって伝わってる状態ってどういうことですか?」
「それは物事の構造がわかったときだよ。言いたいことがすっと入ってくる状態。」
わからないと平気で言うけど、伝わってる・わかってる状態は曖昧だ。
すっと入ってくる状態…それがどういうことなのか。
「なんか、もう、答えがないですね。」
「なんで?」
「わかってる状態がわからないのに、わかるようになんて言えないですもん。」
ゴールがないのに走りたくない。
小生意気にも屁理屈をごねた後の表情は晴れ晴れしくなった。
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